「12時間以内に2RTされたら、ドレスを着て雨の中子猫を拾った、ちょっとお洒落な妹紅を描くよ!」

その日、私は慧音と一緒にパーティーにきていた。慧音に言われるままに着たドレスがどうもなじまない。気分を変えようと外に出たのに、見れば土砂降り。それでも、と思い傘をさし町へ出た。しかしその途中で古ぼけた家を見かけた。気になって、草道をわけて進むと、壁によたれかかる明かりの点いていないネオンの「BAR」の文字。誰かが経営していたのだろうが、自然になじみはじめた机に屋根のない家にどんな人が住むだろうか。アルコールが入っていたと思われるビンは、立っているもの、倒れているもの、割れているものは当然だけど全て口が開いていた。何があったのかなと見てまわっていると突然、黒猫が机の上にひょこんと乗った。机の下に隠れていたのか、不自然なまでに濡れていない。でもこのままだと濡れてしまうと思った私はさしていた傘で黒猫を覆うと、丸まるとした瞳がコチラを見ているのに気がついた。かわいい。どうしたのだろうこんなところに独りで。痩せこけてはいないから、ご飯は食べているのかな。考えていると黒猫は抱っこして欲しいと言わんばかりに私の胸に向かって手を出してきた。仕方ないなぁと頭を撫でると後ろから声が聞こえた。振り向くと慧音だった。「急にいなくなったからどうしたのかと思ってあわてて出てきたんだぞ。こんなところで何してるんだ、びしょ濡れじゃないか」「いやね、猫がね・・・」と再び猫の方を見ると猫はいなくなっていた。猫なんて何処にいるんだと言われ、風邪引くぞと心配され、そのあと叱られた。     後日、慧音に調べてもらったバーの話。1人の男がバーのマスターをしていたらしい。マスターは戦争に駆り出されて、そのまま帰らなかった。お客だった人が、マスターが良くエサをあげていた黒い野良猫はどこへ行ったのだろうか、と言った。     夜。慧音がドレスについたヨゴレについて何かを言ってきた。何のことだろうと思ったけど、気がつけば私は外に駆け出していたーーーーー。

 

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